1  R/Pythonの基本操作

あるプログラミング言語に初めて触れる際に行う儀式として”Hello, world!“を表示させましょう。以下の説明ではPosit CloudGoogle Colaboratoryを前提に進めます。他の環境の場合は適当に読み替えてください。

1.1 環境構築

Rにせよ、Pythonにせよ、使用するためには環境構築をする必要があります。大きく分けて、クラウド環境とローカル環境のに種類の方法があります。

  1. クラウド環境:ウェブブラウザを通じて既に準備がされているサーバ上のR/Pythonを用いる。
    • 準備はアカウントを作成するだけ簡単/インターネットに接続していないと利用できない、マシンのスペックに制限がある。
  2. ローカル環境:自身のPCにR/Pythonをインストールする。
    • オフライン環境でも利用できる、自分のPCのスペックに比例した性能を得られる/インストールが大変

初めてR/Pythonを学習する人はPCの操作に不慣れな人はクラウド環境で十分だと思います。RであればPosit Cloud(旧名RStudio Cloud)、PythonであればGoogle Colaboratoryなどがあります。

ローカル環境を構築する場合はウェブサイトや書籍などに情報が載っているので、それらを参考にしてください。例えば、Rの環境構築であれば高知工科大学の矢内先生の解説などがあります。

1.2 R

Posit Cloudを開いて、右上のNew Projectというボタンをクリックし、New RStudio Projectを選択します。すると、次のような画面になるはずです。

この画面の左側にR version...と始まるパネルがありますが、これをコンソールと呼びます。この中の>の横にコードを入力し、Enterを押すことで実行することができます。

実際にやってみましょう。以下のコードを>の横に入力し、Enterを押してください。

R
print("Hello, world!")
[1] "Hello, world!"

実際に、Hello, world!という表示がされるはずです。もし、表示されない場合は上記コードをコピペして再度実行してみてください。

1.3 Python

Google Colaboratoryにアクセスし、ノートブックを新規作成してください。すると、次のような画面になるはずです。

この再生ボタンの(黒い丸に三角のマーク)あるところをセルと呼びます。その中にコードを記入して、Shift-Enterをクリックすると実行されます。

以下のコードを入力・実行してみてください。

Python
print("Hello, world!")
Hello, world!

Hello, world!という表示がされれば、うまくいっています。もし、表示されない場合は上記コードをコピペして再度実行してみてください。

1.4 オブジェクトと関数

print("Hello, world!")という極めてシンプルなコードですが、ここにR/Pythonのプログラミングの基本的要素が含まれています。

まず、"Hello, world!"というのは、見ての通りHello, world!という文字列を意味しています。"で囲むことによって、これらは文字列だよとR/Pythonに伝えています。そして、print(...)というのはその中身を表示させる機能を果たしています。

このように、R/Pythonでは「なにか」をR/Pythonに渡して「処理」を行います。この「なにか」をオブジェクト、「処理」をするものを関数と呼びます。今回の例で言えば、“Hello, world!”という文字列オブジェクトをprint(...)という関数に渡して表示という処理を行ったということです。

卑近な例えで言えば、オブジェクトが食材で関数が調理といったところでしょうか。様々な食材を様々な調理することで料理を完成させるように、データ分析も様々なオブジェクトと様々な関数で行っていきます。

この時点でオブジェクトと関数について正確に把握するのは難しいと思います。「習うより慣れろ」ということで次章以降のプログラミングの中で体感してもらえればよいと思います。今後、一見難解そうに見えるプログラミングが現れたとしてもオブジェクトと関数という視点から整理すると見通しがよくなるだろうということを伝えておきます。